春限定の出会いもの「ほたる烏賊と分葱のぬた」。
ほたる烏賊を見かけるたびに、手にとりたいのをぐっとこらえる。
分葱のいいものが並んでいないのだから、あきらめるしかない。
3月になってから、そんな日を何度か繰り返してこの日を迎える。
ずいぶん大げさな話だけれど、私の中では儀式に近い。
なんでもない春の出会いものだからこそ、大切にしたい。
ボイルしたほたる烏賊、わけぎ一束、新わかめ。
ほたる烏賊はざるに入れて熱湯をこぐらせ、氷水で〆る。
骨抜きで目を取り除き、水気をふいて酢洗いを。
買ってきたままでも食べられるけれど、このひと手間は欠かせない。
新わかめは色よく歯応えよくもどし、茎の部分をたたんで切り離す。
同じ大きさにそろえて切ると、見た目にも美しく食べやすい。
分葱は熱湯をさっとこぐらせてざるに取り、団扇で急ぎあおぐ。
わけぎの香りが瞬間にふわっと立ち上がり、春が一気にやってくる幸せ。
冷めたら、先を5㎜落として包丁でぬめりをこそげ出し、
大きさを3㎝にそろえて切れば、下処理の完成。もう、楽しくてしかたない。
西京味噌80g、砂糖大さじ1、酒大さじ1.5を小鍋でとろりと練り
冷めたら千鳥酢大さじ2と練り辛子小さじ1を混ぜ合わせる。
大人っぽい辛子酢味噌の味わいだけれど、個性的な春の食材を受け止め
焼酎にも白ワインにも合うから、今のところ我が家の定番。
具材と和えても、別盛りにしてもそれぞれに美味しい春の味。
水菜と焼きのりの柚子胡椒和え、ひじきの煮物、ねぎ納豆の巾着焼き。
和え物の隠し味に酢とオリーブオイル。ひじきはちりめんジャコの旨味が出汁。
納豆には刻みねぎをたっぷりと合わせ、味付けは塩・辛子、ごま油。
油揚げにつめて楊枝で止めて、魚焼きグリルでこんがりと。
どれもあっという間にできる、いつもの素朴なおばんざい。
玄米ご飯とあさりのお味噌汁。ふきのとう味噌とらっきょうの甘酢漬け。
旬の食材は経済的でその季節に必要な栄養も豊富。何より美味しい。
食べることは生きること。日々のごはんを大切に。
今日もご馳走さまでした。
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