11/24/2016

晴れの日の着物



今年も11月には、七五三の着付けのご依頼をいただきました。
七歳のお嬢様の四つ身の着付けをさせていただくのですが、季節限定で、
個人のご依頼より、写真スタジオからのお仕事がほとんどです。
なので、さまざまなお客様の状況を想定しながら、イメージを膨らませて準備します。

子供用のボディ(身長130cmのトルソー)を今年は購入したので、
肩上げや腰上げの有無、帯の幅や長さ、お子様の身長や体格など
お客様によって様々なので、ボディがあることで様々な想定で練習できました。

腰上げなしの着物で、大人用帯をお子様に結ぶ練習をしてみた写真です。
練習用のアンティーク着物や帯、しごきなので、色合せの酷さは御勘弁を(笑)。
でも、古きよき時代の正絹なので重さはしっかりあり、練習には最適でした。

お子様の成長を喜ぶ、ご家族の皆さまの素敵な笑顔。
撮影のアテンドもしながら、そんな現場に毎年、伺えることを感謝しています。
美容院で髪を結ったお子様の着付けを30分ほどですませ、約1時間の撮影。
さらに着物のままで、親戚まわり。その間に疲れてしまうお嬢様たちが
少しでも苦しくなく、着崩れもなく、笑顔で過ごせるように・・・。

そのポイントは襟合わせを直角にすること、衣紋の抜き加減を指一本までに、
子供特有のぽっこりお腹の部分をさけて、腰ひもや胸紐をかけることでしょうか。

今年は、親子代々で着継がれている総絞りの着物を着せつけさせていただく機会もあり
あらためて着物のよさ、すばらしさを感じた七五三シーズンでした。


結婚式やパーティが増える秋は、訪問着や留袖のご依頼も増えてきます。
大人の飾り結び、お太鼓のアレンジをいろいろ研究しています。
留袖にこの帯は、実際にはありえないコーディネートですね(笑)。

昔ながらの比翼仕立てのアンティークの留袖。正絹なのでずっしりと重く、
裾をかなり上げて着付けないと、裾すぼまりにならずにずるずると落ちてきます。
腰ひもの締め方にも工夫が必要。苦しくなくて、びしっと締まる方法で。

帯結びは、先日の大使館パーティに出席されるマダムからのご依頼で、
訪問着に、三重紐なしでできる飾り結びを考えてみました。
たれ先を大切に、二重太鼓で折れ線がかからないように注意します。

先日のお客様がご用意されていたのは、すばらしい訪問着と金糸の袋帯。
本物の仕事の作品に出会えることも、着付け士の仕事の魅力です。
緊張と興奮を押さえつつ、晴れの日のお手伝いができることに感謝して。
これからもひとつ一つのお仕事を大切に、思いを込めてしていきたいです。

「着物は苦しい」と思って着ないのであれば、あまりにもったいない。
着物は苦しくなく、日本人なら誰もが似合う素敵な日本の文化です。
晴れの日の機会に、眠っている着物にどうぞ袖を通してあげてくださいね。

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