4/06/2017

ひと手間の魔法


すっかりご無沙汰しています。パソコンが壊れて一か月あまり。
blogやHP、facebookからすっかり離れた日々は
存分に読書する時間があったり、のんびり料理したり、
おもてなしを楽しんだり、きもの暮らしを満喫したり…。
スマホを持たない私でさえ、PCに費やしている時間が
いかに長いかを実感するには十分でした。
便利なツールではあるけれど、そこに頼りすぎず、
心と体が感じるリアルな感覚を大切にしていきたいと思います。

今がまさに旬の「菜の花の辛子和え」。
3月はおもてなしが多く、そのたびにお出ししたところ
「こんなに美味しい菜の花は初めて」「どこのブランドですか」
皆さんの反応が楽しくて、今日は種明かし。


どこのお店でも手に入る、こんなパック入りの普通の菜の花。
鮮度のよいものを求め、食べる前にセロファンから出して、
茎の先5㎜ほどを切り落としましょう。


ボールにはった水に活けてしばらくすると、
菜の花はボールいっぱいに葉を広げて、シャキッと大きくなってきます。
そう、菜の花は切り花と同じで水揚げすると元気になるんです。
そのままおいておくと、黄色い花が開いてくるのでほどほどに。
沸騰したたっぷりの湯に塩を加え、茎から沈め、
全体の色が鮮やかな緑色に変わったら、表裏を返してほんの数秒。


用意しておいた氷水で急冷し、すぐに花を下にして水気をきります。
このとき大切なのは、絞らないこと。
両手で葉と花をそっと押さえるぐらいで、自然に水気をきりましょう。
茎の繊維が壊れず、シャキシャキした歯ごたえが楽しめます。

だし汁に薄口しょうゆで味付けした浸し汁に、
食べやすく切った菜の花をそっと沈めて冷蔵庫で味を馴染ませましょう。
お好みで辛子少々を溶き加え、器にもっていただきます。

菜の花の茹で方ひとつ覚えるだけで、
いつもの春が、とびきり素敵な季節になったらいいなぁ。
時代が求める「より簡単に…」は、悪いことではないけれど、
「ひと手間かけることで、より美味しくなる…」なら、そちらを選ぶ。
実際にやってみると、かかる時間にほとんど差はありません。
マーズキッチンでは、そんなひと手間の楽しさを伝えていきたいです。

パソコンが壊れたことで、これまでの10年を見直すことができました。
準備のため5月のレッスンもお休みさせていただき、
6月からまた気持ちを新たにスタートしたいと思っています。
東京の桜も見頃になりました。よい春をお過ごしくださいね。

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